“コントロール(原題:CONTROL)”
(2007)
ジョイ・ディヴィジョンのボーカル、イアン・カーティスの23年という生涯のうち、デヴィッド・ボウイやルー・リードにあこがれる学生時代からアメリカツアー直前の自殺までを描いた伝記映画。その内容と、錚々たるアーティストを撮影してきたフォトグラファーであるアントン・コービンの初監督作品との触れ込みにうずうずしていましたが、すぐに廃盤になる可能性のあるサントラはとりあえず購入しておいて、ゆっくり鑑賞するためDVDのリリースまでじっと待機。パッケージには主役のサム・ライリーが斜め上を見上げるモノクロ写真とピンクで記されたタイトル。おっしゃれ~と思いながら再生をしたのですが、みょーにフォトジェニックというかスマートすぎる映像と、彼の妻が執筆した回想本がベース(アニーク・オノレにもインタビューを行っていたらしいです)ということがなんだか引っかかってしまい、当時は内容より本人かと思わせるような鬼気迫るステージングしか印象に残りませんでした。いつかまた観なおそうと長年寝かせ、やっと先日再鑑賞。ステージ上での生々しいパフォーマンスには相変わらずぞわぞわさせられましたが、日常のシーンにおいては特別な才能を持つ人間が成功を掴む途中で普通の青年のように苦悩や不安に徐々に追い詰められていく様に残酷さや切なさでヒリヒリとした痛みを感じながらも没入。アーティストに対しての興味だけでも楽しめますが、一人の青年の物語としても見ごたえがある作品だと思います。